◇◇◇
なんだろう、この状況。
「こくおうへいか、おろしてください」
「良いではないか」
謁見の時とは打って変わってにこやかな国王陛下にげんなりする。何故だか私は国王陛下の膝の上にちょこんと座っているのだ。何でかって、国王陛下が私を抱き上げて乗せたからに決まってる。本当に意味が分からん。何がしたいんだ。
「やはり女の子は可愛いのう」
誰だ、このジジ馬鹿は。どうやら国王陛下には息子しかいないらしく、女の子(つまり私)が可愛くて仕方がないらしい。誰かつっこんであげてよ。
「あなた、私にも抱っこさせてくださいな」
「嫌じゃ」
「…あなた?」
勝者、王妃殿下。いやいやいや、国王陛下の次は王妃殿下とか何の嫌がらせなの。自分一人で座らせろよ。おい、宰相のオッサン。見てないで助けろよ。私はオモチャじゃないんだぞ。
宰相に無言で助けを求めたら、生温かい視線を寄越してきた。なんでやねーん。この人たちどうにかしてよ。
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