20 威厳の行方
あの後扉の前で待っていた案内役の男性に、私が泊まる部屋に案内してもらった。ジジさんとイネスさんを見て(先に部屋に案内してもらっていたらしい)漸く肩の力を抜くことが出来た。極度の緊張のせいで手は汗ばんでいた。
「こくおうへいか、きょうりょくしてくれるって」
開口一番にそう言うと、顔を強張らせていた二人は破顔した。次いでしゃがんで私を抱き上げる。子供といえども重いと思うんだけどなあ。でも嬉しいから自分からもぎゅっとイネスさんの首に手を回す。
「良かったですね」
「うん!」
元気よく返事してにへらと笑う。人肌に触れていると安心する。ちょっと眠くなってきて、目をこすろうとするが思い止まった。そういえばコテコテに塗られてたんだっけ。今こすったらパンダになっちゃうじゃん。仕方がないので目をしぱしぱ開け閉めしていると、イネスさんが私が眠くなっているのに気付いたようだ。
「眠いので?」
「ん」
コクリと頷く。そこからは早かった。ジジさんが「綺麗にしましょうね」といってクレンジングと洗顔で化粧を落としにかかる。サッパリした後、複雑に結った髪をイネスさんがほどき始め、ジジさんがドレスを脱がしにかかった。
私は手持ち無沙汰になって、とりあえず二人に報告しようと口を開いた。
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