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「お主がそんなにも成熟しているのは…」


 国王陛下はそう言いかけて口を噤んだ。言いたいことは分かる。母親は育児放棄の挙句自殺、父親は汚職塗れ。そう考えると今世の私の人生って最悪じゃん。前世の行いが悪かったからかな。こんなに不遇になるくらいのことをやらかした覚えはないんだけど。
 でも私が成熟しているのは単に前世の記憶があるからだ。気遣ってくれる国王陛下には悪いけど、これを言うのは色々とヤバそうなので話の流れに身を任せておこう。私は軽く目を伏せてから国王陛下を見る。


「おきづかいかんしゃいたします。ですが、わたくしはあのかたがたをおやとはおもっていないのでだいじょうぶです(お気遣い感謝致します。ですが、私はあの方々を親とは思っていないので大丈夫です)」


 嘘は言ってないよ。ただちょっと儚げに見えるように演出しただけだよ。目論見通り国王陛下と控えている宰相は僅かに顔を歪めた。だけど、同情は要らないと言外に言ったためすぐに顔を引き締めていた。


「事が済んだ後、どうするつもりだ」


 この問いには少し考える時間を要した。馬鹿正直に答えるべきか、当たり障りなく答えるべきか。でもまあ子供なら許されるだろうと、正直に答えることにした。



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