16
「一度人身売買について言った使用人を連れて来い。話を聞きたい」
「うけたまわりました」
ジジさんに誰が言ったか聞かないとね。情報収集はジジさんが担当しているから。
「ところで、エミリエンヌだったか」
「はい」
「お主のその髪と目は突然変異か?」
あ、やっぱり聞かれる?でも私にも分からないんだよね。なんでこんな色なのか。過去の文献を探しても、私のような白髪について書かれたものは無かったし、フェリシテ家の家系図を見ても分からなかった。だから先祖返りということもないらしい。そうなると、国王陛下が言う突然変異くらいしか心当たりが無いんだよねぇ。
「おそらくは」
「そうか。噂には聞いていたが、見事だな」
「うわさ、ですか」
噂になってたの?初耳なんだけど。軽く衝撃を覚えつつ、じっと見つめてくる国王陛下の目を受け止める。やっぱりこの色は奇異なんだろうなあ。でも国王陛下は見事と言ってくれたのは単純に嬉しい。なんだかんだ言って生まれてから付き合っているこの髪色に愛着もついてきているのだ。ただ、この髪色のせいで、もしフェリシテ家が落ちぶれた場合どっかのおっさんの愛玩ペットになりそうな気がして怖いんだけどね。
▼
top