14 王と謁見



 王の間には玉座に座る、まさしく王様!といったおじいさんが一人。それから宰相だと思われるなかなかダンディな中年男性が二人。それ以外には誰もいない。え、それって大丈夫なの?普通は他にもいっぱいいると思うんだけど。とそこまで考えてはたと気付く。ああそうか、そうそう大勢の人に聞かせられる話題じゃないもんね。ということは、だ。私と国王陛下と宰相二人の四人ぽっちがこの王の間に取り残されたわけだ。ジジさんとイネスさんは身分故にここには来ることが許されない。頼みの綱がいない今、私はこの威圧感に独り耐えなければならない。


「顔を上げよ」


 恭しく頭を垂れていた私は、国王陛下の一言で顔を上げる。眼光の鋭さは確かに王様であると頷けるものだった。その鷹のような目が私を射抜くことによって身体が強張る。その硬くなった身体をほぐそうと深く息を吐き出した。


「はつげんのきょかをいただきたいとぞんじます(発言の許可を頂きたいと存じます)」
「よい」


 呂律が回らないなりに頑張って謙譲語を使う。文法的に合っているかどうか不安だけど、子供ということで大目に見てもらおう。


「このたびはえっけんをうけていただきありがたくぞんじます(この度は謁見を受けて頂き有り難く存じます)」
「うむ。幼いのにしっかりしておる」
「きょうしゅく(恐縮)です」


 よし、印象は良いみたい。少し和らいだ目元にホッとして口を開く。


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