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◇◇◇


「出来ましたわ、エミリエンヌ様」
「いつもお可愛らしいですが、今日は一層可愛らしいです」


 満足げな表情を浮かべた三人にやんややんやと持て囃される。私はもうグッタリだ。ドレッサーの鏡(屋敷内にないと思ってたらこんなところにあったのか。まさに目から鱗)を見ると、無駄にキラキラしたハイスペックな幼児がこっちを向いていた。チークを塗られ、アイラインを引かれ、ビューラーをされ、アイシャドウも乗せられた。最後に口紅をしてお姫様の完成。こんな子供に化粧するのってどうなの。


「では髪を結わせていただきますね」


 まだ何かすんの!?


◇◇◇


 黒歴史進行中です。あ、間違えた。城に向かって爆進中です。あの後散々装飾品を付けられて、やはりドナドナな気分。今まさに馬車で城に向かってるしね。
 それにしても五歳児の手紙を受けるとか、この国の王様どうなってんだろ。いや、受けてもらって感謝はしてるけどさ。会ったら何から話せば良いんだろう。今更ながら緊張してきた。………………。


「………ジジ、イネス」
「はい、何でしょう」
「………おてあらいにいきたい」


 小さな私の声に、ジジさんとイネスさんは慌て出した。ほんとすみません。


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