11 心の準備



 どうも、エミリエンヌ=M=フェリシテです。今日は謁見をしに城に行く。
 国王陛下への手紙に何を書こうかめっちゃ迷ったよ。だって「今日はお日柄もよく〜」だなんて書いても意味ないじゃん。幼子が謁見したいだなんて国王陛下からしてみれば「何ほざいちゃってんの?」な感じでポイッとゴミ箱行きに決まってるもん。だからストレートに「ギュスターヴ=M=フェリシテの汚職の決定的証拠の収集に手伝ってください」ってジジさんに書いてもらった。本来私が書くべきなんだろうけど、この身体はまだ不器用なものでミミズが這ったような字になっちゃうから辞退しておいた。
 ちなみに私が喋っている言葉は日本語じゃない。この世界で言う共通語らしいから、地球で例えると英語みたいなものだと思うよ。生まれた時から言葉が分かったり読み書き出来たのはチート的な何かなんだろうね。リスニングが難なく出来るのは情報収集にも役立って、無信教だけど神様に感謝した。
 そんで、今日登城するってことになって朝から大忙し。普段からフリフリのロリータなドレスを着ているんだけど、今日は王に謁見ということで一段とゴージャスなドレスを着せられている。何よりもコルセットが辛い。いつもはしないのに、ギューッて締め付けられて朝ご飯が逆戻りしそうになった。幼児にウエストは要らないと思うんだけど。そして何よりもアナベラさん、ジジさん、イネスさんの三人が手をワキワキさせて私にジリジリとにじり寄ってきているのが恐ろしい。ちびりそう。ちびらないけどね。


「エミリエンヌ様、御覚悟を!」


 イネスさん、それって悪者の台詞だよ。イネスさんに四肢を押さえつけられる。気分はまるでドナドナ。ああもう好きにしてくれ。

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