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「海が来たことをエンペラーに手紙で伝えた。だが、それはお前を保護するためだ。ただでさえ異世界からやって来た上に、精霊に愛されし者。この森にいる限り危険が迫ることはまずないが、どこから情報が漏れるか分からない。存在広まれば、どこぞの輩が狙いに来るに決まっている。だからこそ、協力を仰いだんだ」
「僕のため…」


 ヴァンがホッと吐いた息が首筋にかかってくすぐったい。


(全部、僕のことを考えてのことだったんだ。それなのに)


 自分は子供だなぁ。反省すると同時に目を伏せた。自己嫌悪するのは後でいい。今はただ、この心地良さに身を委ねていたかった。


「先に言っておけば良かったな。…海のことを実験台などと思っていない。誓って」
「はい」


 静かに海は頷いた。ヴァンは漸く頬を緩ませ、柔らかく目を細めた。無防備に晒された白い首筋に唇を這わす。


「ヴァンさん?」
「お前を、手放したくないと言ったら笑うか?」


 あまりにも突然のことに、海はピキリと固まった。まさか、そんなはずは。ぐるぐると頭の中で思考が回る。

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