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【悲しかったのか?】


(ああ、そうか)


 サラマンダーの言葉が胸にストンと落ちた。怒りだけだと思っていたが、大半は悲しみなのだろう。信じていた人に裏切りに準じる行為をされた悲しみ。そして果てのない喪失感と孤独感。


「どうしよう」
【海?】
「独りになったら僕は」


 不意に立ち止まって地面を見た海をサラマンダーは心配げに窺う。一粒の雫がキラリと光を反射しながら落ちていった。自分が独りであることに気付いた途端、凄まじい恐怖に陥った。
 今まで境遇を理不尽に思ったことはあったが、得体の知れない何かに対して恐れを抱いたことはなかった。住み慣れた地球とは全く別の異なる世界。今更、知らない場所に来たという恐怖が海を襲った。


「…馬鹿だなぁ」


 思わず自嘲せずにはいられなかった。

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