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「文(ふみ)には面倒だったから記していなかったが、海は向こうの世界からこっちに来る際幼児化したらしい。ついでに容姿も全くの別物だと聞いている」
「はあ!?そういうことはちゃんと言えよ!ただでさえ異世界人、しかも光属性の資料は少ないんだぞ!」
「エティンセルっ!!!」


―――ガタンッ


ヴァンがエティンセルの口を塞ぐが、時既に遅し。海はすぅ…と目を細めて立ち上がった。澄んだ瞳の奥に怒りの炎が燃え盛る。感情の高ぶりと共に魔力が流れ出し、金色の光を体から放ち始めた。
 どんどん輝きの増す様子から、海の怒りの強さが知れた。じわりと深緑の瞳に金が侵略し始める。


「…僕は実験台だったんですか?」
「それは!」
「頭冷やしてきます」


 ヴァンの言葉を遮り静止の声を振り切って家を出た。向かう先は森。残された二人は眼力の強さに暫し固まるのだった。

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テーマ「人外ファンタジー」
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