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「水!」


 いつも通り薬を放り込むのに失敗した海は早々に空になったグラスに呻く。ヴァンはすっかり慣れた様子で「はいはい」と水を注いだ。
 それを飲み干し、まだ口内に苦味が残る海は再び催促する。その後一連の流れを3回繰り返し、漸く落ち着いた海はふぅと息を吐いた。


「…ぶはっ!」


 堪えきれない、といった風にエティンセルが噴き出す。どうやら笑いの沸点が並みよりも低いようだ。何に対して笑っているのか分からなくてクエスチョンマークを頭上に並べるが、ヴァンは理由が分かっているらしく溜息をついていた。


「くくっ。海ちゃん、年齢の割に大人っぽいのに妙なところで子供なんだな」
「こ、子供…」


 エティンセルの言葉に軽くショックを受けた。項垂れる海を横目にヴァンは訂正を入れる。


「海は大人だ」
「どこが?」


(即答…まぁ普通そうなるよね)


 どんどん落ち込む海を尻目にエティンセルはキョトンと瞬きを繰り返す。

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