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「まあ憂うことはないさ。ヴァンは誰にでも自分のことをについて話したがらないし。それに」


 そこで一度言葉を切り、エティンセルは海を見て微笑んだ。


「海ちゃんには随分心を許しているようだから」
「どこが?」


 彼の科白に思わずといった風に口から溢れた。ヴァンの他人に対しての態度が、海は知らない。ヴァンと自分と、それからエティンセルしかこの世界に来てから人間に会っていないのだ。
 判断材料が少ない上に、エティンセルはヴァンとは旧知の仲でお互いの雰囲気は気心の知れたように思えるのだ。遠慮の無い、そんな仲を羨ましがるのも無理はない。心底から出た声に彼は苦笑した。


「分かりにくいかもしれないけど、あれでも君に対しては甘いよ。俺が今まで見たことないくらいに」


 短い時間の仲でも、ヴァンと海の様子を見ていると溺愛していることが伺える。基本として無関心なヴァンが他人に気遣ったり優しくするのを初めて目にした。以前(海が来る前)よりも格段に柔らかくなった雰囲気と眼差しに、エティンセルは感付いていた。


(恐らくヴァンは)

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