(一体、どういう事?)
怪訝な顔をしてヴァンを見上げる。彼は深く溜息を吐いて苦笑して見せた。
「とりあえず帰るぞ」
未だに海の周りから離れようとしない精霊達にヴァンは目を細めて笑んだ。ハっとして、海も狼王を撫でながら礼を述べて微笑む。
狼王を初めとする全ての者が嬉しそうにしている。エティンセルは存在を忘れられている事に苦笑して二人を促すのだった。
「海、体の調子はどうだ」
ヴァンが海を抱えたまま家に着いた(抱えたまま、といっても魔法で空中を飛んできたのだが)。海を椅子に下ろしてヴァンは尋ねる。
「だるい気が、します」
「薬を調合してくるから待ってろ」
平気だと言ってもすぐにバレるだろうと海は素直に言う。ヴァンは一つ頷いて奥の調合室へと消えた。エティンセルはこの機会に、と口を開いた。
「突然襲ってごめんな?最初は実力を見るだけのつもりだったんだけど」
つい興奮しちゃって、と笑うエティンセルは先程とは全くの別人である。火属性の精霊は他の精霊達の中でも特に気性が激しいとされているからだろうか、と海は知識の片鱗を引っ張り出した。
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