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「ところでお前、何歳だ?」
「元々は19歳です」
「だろうな。話し方がまるで子供じゃない」


 納得したように頷くヴァンとは対照的に海は苦々しげな表情をする。どうして幼児化していしまったのか。そう思うが、しかしこれからこの世界のことを初めから頭に詰め込まなければならない状況になった今、時間がたっぷりあることには感謝せねばならない。


「ま、ひとまず知識からだな。お前字は読めるのか?」


 異世界から来たのだろう?とヴァンは言う。キョトンとした海はそういえば、と考え込む。
 自分が話している言葉についてよくよく考えてみれば日本語ではないような気がする。けれど意味も通じるし自分で話すことも出来る。海は首を傾げた。


「じゃあこれは読めるか」
「魔法全書」
「読めるな。なら大丈夫か」


 ヴァンが一つ差し出した分厚い本の表紙を読む。確かに読むことは出来る。文字は見たことがないのに、だ。頭の中に浮かんでくるような感覚はとても不思議だ。
 海はとりあえず此方に来た時に言語を変換してくれたことに感謝した。下手をしたらそこから習わなければならなかったのだ。


「とりあえずそれを読め。基本は書いてある」
「はい」


 これからはこの小さな頭にどれだけ詰め込めるかが課題だ。頑張ろう、と海は意気込んだ。

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