19
「光魔法の使いは精霊に愛されし者のことだ」
「!!」
海は衝撃に目を白黒させる。ヴァンはその様子をじっと見据えるが、一つ頷くと柔らかく微笑んだ。
「お前なら平気だろう」
ヴァンの呟いた声は海には届かなかったが、ヴァンは心なしか嬉しそうだ。強力な魔力を持って悪用するような者では決して無いことに納得したのだ。
しかし光魔法使いを“柔らかい魂を持つ”と精霊王オヴェロンが言った通り、文献では光魔法は優しき者が持つと言われている。それが事実であることは、数々の伝説と「この世界が存在している」ことにより証明出来る。
「あの、ヴァンさん」
「なんだ」
「四大属性はなんとなく分かるのですが、光はどんな力なのですか?」
海の問いにヴァンは潔く答える。
「光は破壊と再生を司る」
「破壊と再生…」
「破壊は全ての能力に対応出来ること、再生は主に治癒だ」
「治癒が出来るんですか?」
曇っていた表情が僅かに輝いた。自分の力が他人に役立つのかもしれないと思うと、海は思わず身を乗り出した。そんな海にヴァンは笑いながら頷く。
「ヴァンさん、僕に全てを教えてください」
「何の為にか聞いてもいいか?」
「人々を守る為に。僕が役に立つのなら自分をコントロールする術を。そして全てを捧げます」
海の真っ直ぐな瞳に、ヴァンは至極楽しげに頷いた。
「いいだろう。俺は厳しいぞ」
「はい!」
海はキラキラと目を輝かせ、元気に頷いた。
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