18



「とりあえずはここまで大丈夫か?」
「微妙、ですね」
「なんとなくでいい」
「なら大丈夫です」
「さて、と。ここからが本題だ」


 おもむろにヴァンは海と視線を交じらせる。ピシリと張り詰めた空気に自然と海は背筋を伸ばした。


「魔力の属性、覚えてるか?」
「火、水、風、地ですよね」
「ああ、そうだ。その4つ以外にも音や氷などがあるが、その能力の中で頂点にある能力属性がある。それは光だ」
「光」

 反芻した海にヴァンは頷く。


「光属性を持つ使いは数百年に一人いるかいないか、と言われている。更に、強力な魔力を持つ者は数千年に一人とも言われるほど貴重だ」
「果てしないですね」
「そうだ。何千億分の1、いやそれ以上だろうな。その少ない確率の能力が光。光はあらゆる属性の源となっているために、誰よりも能力は上だ。強力な魔力を持っていれば一瞬で世界を滅亡にまで追い込めるほどに」


 ごくり、と海は喉を鳴らした。現実離れした能力に恐怖すら感じたのだ。


「光属性は能力が表面に表れない」
「ならどうやって探すのですか?」
「精霊であれば、本能的に見つけ出すことが出来る」


 海は目を瞠った。まさか、という呟きは音にならずに空気に溶けて消えたが、ヴァンはその呟きに頷いた。

prev next

 



top
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -