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「魔法を使える者を使いと呼ぶ」
「使い?」
「そうだ。使いには男しかいない」
「そうなんですか?」
「ああ。女は魔力があっても使えない。そういう理になっている」
「ほえー」


 海は感心しているのかしていないのか分からない返事を寄越す。


「使いの能力、つまり魔力には精霊と同じように属性がある」
「火水風地、ですか」
「そうだ。使いは属性に合った色を表面上に持つ」
「よく分からないです」
「素直でよろしい」


 ヴァンは笑って海の頭を撫でた。子供扱い、と呟きながらも受け入れて海は先を促すように見上げた。


「火は赤、水は青、風は緑、地は黄。この色を基本とする」


 海はふんふんと頷く。では、表面上に持つとはどういう意味なのだろうか。


「つまり、その属性の色を例えば髪だったり目だったりに反映するわけだ」
「ということは、」
「そう。俺は見ての通り風の使いだ」
「なるほど」


 美しいエメラルドグリーンの髪と瞳をじっと見つめる。ある意味分かりやすいと言えるだろう。


「使いは使い自身の魔力の大きさによって契約する精霊の強さが変わる。ちなみに使いはそれぞれの同属性の精霊と契約することとなる」
「ヴァンさんは風属性の精霊としか契約出来ないってことですよね?」
「そういうことだ。そして使いには地位がある」
「地位ですか」
「使いの地位は魔力の大きさや技術の高さ、実力で決められる。地位が高い順から最上使い、上級使い、中級使い、下級使いとなっている。最上使いは世界に数名しかいないけどな」
「ちなみにヴァンさんは?」
「あー」


 ヴァンはガリガリと自身の頭を掻いた。言いにくそうなその様子に海は首を傾げる。


「一応、最上使いだ」
「!?」


(ま、まじでかあああああああ!!!)


 海は内心で大絶叫である。世界に数名しかいないって、その中にヴァンさんが入ってるわけ!?と驚きばかりが心を占める。ヴァンは「だから言いたくなかったんだよ」と溜息をついているが海はそれどころではない。

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