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「これは精霊なら全ての者が当て嵌まることなんだが、精霊には契約というものがある」
「さっき言っていた奴ですか?」
「ああ、そうだ」


 海は自分の右手を見る。そこにはそれぞれ親指には金の王冠、人差し指には銀の薔薇、中指にはルビーとサファイア、薬指には琥珀とエメラルドといった指輪が着飾っていた。海は少しだけ指輪を引っ張ってみるが、やはり取れない。それどころかビクともしないのだ。


「その指輪が契約の印だ。地位が高い者はそれだけ指輪の質が良い」
「契約の印」


 確かに高価なものではありそうだが、それほど大層なもののようには思えない。海はヴァンの話を聞きながらじっと自分の右手を見つめた。


「だから精霊王の指輪は金、王妃は銀だろう?」
「なるほど」


 なんだかややこしいな、だなんて思う。全ての知識を今詰め込んでもあまり意味がないようにも思えるが、それが自分の為であることは重々承知なのでもう既に一杯な脳内に必死になって押し込む。段々と頭痛がしてきたことを無視して海は更に話に耳を傾ける。


「契約の印は主にアクセサリー類だ。基本はネックレスやブレスレットだけどな」
「基本は?」
「ああ。まあそれも話さないといけないんだが、まず精霊と契約出来るのは魔法を使える者だけだ」


(あれ?って事は僕って魔法使えるの?)


 再び混乱に陥りそうな自分の頭を叱咤する。ヴァンは気にせずに話を続けようと口を開いた。


「この世界の人間は二通りに分けられる。魔法を使える者と使えない者だ。その割合は約3:7程だな。もちろん使える者の方が少ない」
「やはりというかなんというか」


(RPGもそういうものだったよなぁ)


 海は心中でポツリと呟く。元々あまりゲームに興味の無かった海は、悔やんでいた。もしかすると今この状況で必要だったりする知識があったのかもしれない。海は人知れず嘆息した。

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