14
「それぞれの属性に属する精霊たちの頂点が先程の4人だ」
海は目を見開く。先程の精霊たちは、意外にも地位が高いらしい。
「火はサラマンダー、水はウンディーネ、風はシルフ、地はノーム」
「凄いですね」
この話を聞いて海は感嘆する。四大精霊がつい先程まで目の前にいた。その事実は恐らく奇跡にも近いことなのだと海は直感で気づいていた。ヴァンは海の理解力に驚きながらも表には出さずに頷く。
「ああ、彼らは滅多に人間の前には現れない。更には四大精霊全員が集まることなど皆無に等しいな」
「じゃあ僕は一生物の体験をしたってことですね」
海は目を輝かせながら嬉しそうに笑う。しかしヴァンは首を横に振った。
「いや、これから何度もあるだろうな」
「?」
ヴァンの言葉に不思議そうに首を傾げるが、ヴァンは「追々話す」と言って話を終わらせた。少々不満に思いながらもヴァンに従って口を開くことはなかった。
「それでだな、彼ら、つまり四大精霊たちの更に上に立つ者が精霊王と精霊王妃だ」
「オヴェロンさんとティターニアさんのことですか?」
「ああ、そうだ。彼らは精霊の頂点に立つ」
「わぁ」
本当に偉い人だったのか、と海は目を丸くする。否、分かってはいたのだけれども。ヴァンは明らかに棒読みな海の台詞に苦笑する。
▼
top