◇◇◇
「これ、紅茶な」
「ありがとうございます」
コトリ、と年季の入った木製のテーブルにカップが二つとティーポットが置かれた。海は礼を述べて紅茶に口をつけた。口の中に広がる良い香りにホゥ、と息を吐くと同時に目元を和ませる。その様子を見てヴァンは目を細めた。
「お前、本当に危なっかしいな」
「え?」
「綺麗過ぎるって言ってんだ」
ヴァンはこれほどにまで綺麗な奴を見たことがないと呟く。海はその言葉に目を見開き、理解した瞬間頬を朱に染め上げた。
「僕は平凡ですよ。ヴァンさんの方が美形じゃないですか」
海は自分の顔の破壊力に気づいていない。それもそうだ、以前の海は平凡な青年だったのだ。この世界に来てからは自分の顔は見ていない。ヴァンは息を吐き出し、鏡を持ち出した。
「自分の顔をよく見ろ」
ヴァンをキョトリと見やって、次に鏡へと目を向ける。するとそこには。
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