05



【私はシルフ。風の精霊よ】
「せいれい?」


 精霊が存在することにも驚いたが、海は先に彼女が人ではないことに納得していた。シルフは微笑みを讃えたまま海に促す。


【ほら、貴方を心配してたくさん集まってきたわよ】
「え?」


 海が周りを見渡せば、それはそれはたくさんの者がいた。小さなピクシーから、耳の尖ったエルフ、下半身が馬の者、鳥の者、ペガサスまで他にも様々な者が多くいたが、どの者も人間でも動物でもない。けれど海は直感でこの者たちが自分に危害は加えないだろうと分かった。
 近くにいたペガサスに手を伸ばせば、ペガサスは海を慰めるように労わるように擦り寄った。その行為から言葉はないものの気遣ってくれている気持ちは伝わり、海は涙を拭うと微笑んだ。


【ほう、珍しい奴じゃな】


 唐突に声がして、海はキョロキョロとするが誰なのか分からない。ホッホッと独特な笑い方が頭に響いた。


【ここじゃ。下を見なさいな】


 下を促されるままに見れば、そこには小人のような者がいた。まるで童話に出てくる七人の小人そっくりだった。先端に丸い綿が付いたとんがり帽子を被った彼は、顔こそ中年男性のようだがどこか愛嬌がある。

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