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 ―――花屋。


 某県の山奥にひっそり…否、堂々と佇んでいる全寮制学園がある。街に下りることもほとんど許されない閉鎖されたそこは言わせる者に言わせれば王道学園とかいうものであった。
 そんな学園に存在する、花屋と呼ばれる奇妙な存在があった。七不思議のひとつとも称される花屋は、実際に花を売っている訳では当然なく、どんな悩みでも解決してくれるとかいう、つまりは、よろづ屋であった。
 学園の生徒のほとんどは、花屋に関して噂しか知らない。それどころか花屋なるものが実際に存在しているのかさえ曖昧だった。
 そんな不確定な花屋は、結論から言えば存在している。花屋の定員は一名で、代々当人から選ばれ受け継がれて、現在は篠原木葉が務めている。


 ―――38代目花屋ミセバヤ


 それが彼、木葉の肩書きである。

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