09



さんにんめ


「よう、木葉」
「…国枝先輩?」


 移動教室のために廊下を歩いていたら、後ろから呼び止められて振り返る。そこには風紀委員長である国枝裕貴がいた。
 はて、と木葉は首を傾げる。どことなく覇気がないように見えるのは、気のせいだろうか。


「何かありました?」
「ああ、いや。最近強姦件数が多くてな…」


 ダルそうに息を吐き出す裕貴に、そう言われればと思う。木葉は職業(?)柄、そういう場面に出くわすことが多い。
 その時は裕貴に逐一連絡を入れるのだけれど、確かに裕貴の言う通り、最近増えてきているような気がしなくもない。


「警備配置を考えなきゃいけねぇんだが、何分この学園は広いからなぁ」
「そうですね」


 この学園は広すぎるために、風紀でさえも完全に把握することは出来ない。出来たとしても、その配置を作るために掛かる時間はかなり長くなりそうだ。
 それまでの間にどれだけの強姦被害が出ているのか、と考えればそれをしている程の時間もない。どうすることも出来ないと裕貴は深く溜息を吐き出した。

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