04



―――コンコンコンコン


 唯は豪華というか派手というか、見るからに重そうな生徒会室のドアを行儀良く四回ノックした。


「…入れ」


 低い掠れた声がドア越しに聞こえたのを確認し、一度大きく深呼吸して表情を作る。緩いような、エロいような。そんな笑みを顔に貼り付け、生徒会室に唯は踏み出した。


「失礼しまぁす」


 唯はまだ高校一年であり、生徒会室にいるであろう会長を含め他の生徒会役員は全員二年であるため、敬語をいつも使う。それが例えキャラに似合わなくとも、行儀や作法、目上の人物への礼儀として失えなかった。
 これでも大手企業の社長子息であるのだ。唯は決して自分を見失うわけにはいかない。それが、社長子息である以前に氷室唯という一人の個人としての意地というか、志でもあるから。


「…かいちょお?」
「なんだ」


 生徒会室に足を踏み入れて、まず真っ先に視界に入れた会長、鳳凰寺臣に唯は眉を寄せた。思わず唯が会長を呼べば、臣は即座に返事を返す。
 唯は眉を潜めたまま臣が座る机までゆったりとした足取りで近づいた。怪訝そうに唯を見る臣はしかし何も言わず彼を見やる。

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