優しい表情?と首を傾げる。どう思い出してもギラギラした瞳しか浮かばない。ああ、でも。とも思った。
(そういえば、以前よりよく笑ってますね…)
それが狛の言う「優しい表情」というのなら。そこまで考えてハタと唯は思考を停止した。唯の知る限り、他の人の前で笑う二人を見たことはなく、それはつまり―――。
カッと顔に血液が集まる。
「…っ」
「あ、今更自覚したの?可愛いなぁ」
「狛くんが意地悪だぁ!」
「えへへ」
頬を朱に染めながら言えば、狛は照れてはにかんだ。
そこはにかむところじゃないですよ!?とは思ったもののその可愛さに開きかけた口を閉じた。
「あのね」
「なあに?」
「僕、好きな人が出来たの」
「…え」
ポツリとなんとなしに呟いた狛の言葉に驚愕した。唯はガバッと狛の肩を掴む。
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