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「それを言うなら唯くんの方が危ないよ」


 困った顔でバッサリと切り返した狛に唯は驚いた。


「会長と委員長に迫られてるんでしょ?」
「何で知ってるのぉ!?」


 まさか全校生徒にまでバレてしまったのかと内心で冷や汗を流す唯に否定の意味で首を振る。「僕だけだよ」といって秘密の話をするように声を小さくして囁く狛は悪戯っ子の笑みを浮かべた。
 そういえば感情には鋭いんだったっけ、と思い直してホッと安堵の息を吐き出した。狛には知られてしまったが、「狛くんなら別に構わないですし」と小さく微笑を浮かべるくらいには余裕があった。


「目、見たら分かるんだよ?好き好き大好きーって言ってるもん」
「スキスキダイスキ…」


 そんな可愛いものじゃないんですよ、狛くん。
 と唯は頬を引き攣らせた。貞操の危機が間近に迫っていることを身をもって知っている。


「唯くんのこと、凄く好きなんだろうなぁって」
「…そう、かなぁ?」
「そうだよ!だって唯くんのこと見る時、すっごい優しい表情してるから」

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