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「臣、朱鷺っ!俺に会いに来たのか!!」


 この歓声の中で、全員が聞こえるようなその音量に唯は感心さえ覚えた。といっても呆れの方が強いが。
 そうこうしている内に二人はどんどん近付いてくる。未来の声を聞こえていないかのような素振りで、確実に唯の元へと。


「久しぶりだな!」
「お前に興味などない」


 ちらりと臣は未来を冷めた目で一瞥した。その氷点下の眼差しに流石の未来もビクリと肩を震わしたようだが、すぐに気を取り直して大声で話しかける。


「そんな言い方ないだろ!そうか、最近会わなかったから寂しかったんだな!!」


 何を言っているのだ、こいつは。食堂にいる全ての生徒(取り巻き以外の)が思ったに違いない。もちろん唯もそう思った。
 未来がこちらを向いていないことを良いことに、顔を顰める。するとパチリと朱鷺と目が合った。朱鷺は一度狛を見て、また唯を見る。唯はその目配せの意図を正確に把握して頷いた。

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