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「―――ここに、いますよ」
「唯っ何か言ったか!!?」
「ううん、何もぉ」
「そうか!何かあったら俺に言えよ!!」


 作った笑顔を浮かべれば、未来は頬を赤く染めた。それを視界から追い出して考え込む。一度、狛と話す方が得策だろう。
 しかしどうやってここから連れ出すか。混乱に乗じて抜け出せれば…。唯がそう思い至った時、食堂が揺らいだ。


「臣先輩に…委員長?」


 目を瞬いて呟いた言葉は地鳴りさえ鳴り響く歓声にかき消された。ゆったりとした足取りで、しかし確実に此方へ向かってくる二人の人影。
 見間違えようもない。臣と朱鷺だ。唯は何故、と首を傾げる。二人は仲が良くない。それは事実であるはずなのに、揃って一緒に歩いているところなど見たこともない。巡る思考は、大声に遮断された。

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