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「―――岸辺くん」


 にっこりと唯は自分の持ちうる最上級の笑みを岸辺に浮かべる。その表情を見た岸辺は空笑い。そりゃあそうだろう。状況が、状況なだけに。


「唯っ久しぶりだな!!」
「………そうだねぇ」
「なあ折角だし一緒に食べようぜ!!!」


 大きい声じゃないと話せないんですか頭大丈夫ですか嗚呼大丈夫じゃないですよね周知の事実です。
 なんて事を内心で毒づくが口には出さない。出したら出したで更に大きな声が待っているに決まっているからである。


「国谷く、」
「名前で呼べよ!友達だろ!?未来って呼んでくれよな!」
「(えー何それ面倒なんですけど)」


 王道転入生、国谷未来に唯はこっそりと溜息をついた。
 萌える。確かに萌えるが。
 しかしどうしたって相容れることの出来るような相手ではない。胡乱な目で岸辺を見やる。

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