「だがな、これだけは覚えておけ。俺はお前を逃す気はない」
固まる唯の首筋にガブリ、と朱鷺は噛み付いた。
「いっ!!!」
痛みに息を詰めて噛まれた首筋を手で覆う。朱鷺はニヤリと笑い、血に濡れた唇を舌でペロリと舐めた。
「俺以外の痕を付けんじゃねぇよ」
そう吐き捨てた後、朱鷺は唯を覆い被さる体勢から立ち上がりザクザクと音を立てて去っていった。
唯は抑えた手に生暖かく濡れた感触に顔を歪める。ボタボタと血を流しながら起き上がった。
「っ手加減、してくださいよね」
その際でさえ痛む首に、愚痴を零した。足元に溜まる血溜まりにはぁ、と息を吐き出す。
「散歩になんか出なければ」
相手が俺じゃなければ萌えるんですけどね。ヤンデレ攻め…執着攻め?
噛まれたせいかテンションが低いながらも頭の中でぼんやりと考える。やはり、腐男子である。
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