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「え、と…頬に、キ、キスされて」
「それで?」
「く、首を」
「首を?」
「っ舐められて!キスマークつけられました!!それだけですっ」


 半ばやけくそに唯は叫んだ。羞恥に頬は林檎のように赤い。


「…へぇ、」


 つぅ、と首筋を指でなぞられて唯は震えた。


「っ!?」
「消毒、だ」


 くい、と上を向かされたと思うと頬に柔らかい感触。唯はつい昨日あったその感触に、目を見開く。目の前にある美しいその顔を見つめて狼狽する。
 それに気を取られて気づかなかった。その口元が弧を描き、歪められたことに。


「っあ!」


 首筋に濡れた感触がする。唯は逃れようと朱鷺の胸を手で押すが、簡単に両腕を取られて頭の上へと片手で持っていかれる。足の間には朱鷺が割り込み、抵抗する術をなくす。


「最後だ」


 首筋に僅かな痛みが走る。眉を寄せて耐える唯に、朱鷺は口元を緩め満足そうに笑う。


「な…に、するんですかっ」
「消毒」
「こんな消毒がありますか!」


 未だ腕を拘束されたまま自身を覆いかぶさっている朱鷺を睨みつける。朱鷺はゆるりと妖艶に笑んだ。

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