14



「ちょ、かいちょ…っや!」
「それ止めろ」
「え、何が…っ」
「俺は会長って名前じゃねぇ」


 名前で呼べと!?そういうのは転入生もしくは他のチワワとかにしてあげてくださいっ!
 唯は臣の台詞に悶えながら心の中で叫ぶ。


「っや!かいちょっ」
「呼ばねぇと止めない」
「そんな理不尽な…」


 羞恥に頬を朱に染めながら、有言実行なのだと悟った唯は躊躇いながら名前を呼ぶ。


「鳳凰寺、せんぱ…って、あ!」
「臣」
「え、んっ」
「臣って呼べよ…唯」


 甘い声で下の名前で呼ばれた唯は「ひぃぃ!!」ともっと顔を赤くする。


「っ、お、み先輩!」
「聞こえない」
「臣…先輩っ」


 必死に逃れようと要望通り名前で呼ぶ。するとふと見惚れる笑みを臣は浮かべた。


「上出来」
「んっ、ちょ、何してんですか!」


 首筋にチクリとした痛みが走る。腐男子である唯はそれが何か分かってしまった。


「何ってキスマーク」
「!」
「お前肌白いから映えるな」


 満足そうにクツリと喉の奥で笑った臣は、あっさり唯から離れて生徒会室に入っていった。それを呆然と見送った唯は、そのまま壁に背を預けてずるずるとその場に崩れ落ちた。

prev next

 

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -