13



「他の奴には黙っておくから」
「本当ですか!」
「あ、ああ」


 思わず乗り出す唯に少し後退りながら頷く。と、その瞬間パァっと唯は笑顔になった。


「ありがとうございます!」


 その無邪気な笑顔に、また臣は狼狽する。


「なっ」


 内心悶える臣なんて露知らず相変わらず上機嫌に笑む唯。臣はまだ唯の身体の横に手をついたままなのでかなり近い。至近距離のそれに、ありったけの理性を振り絞って抑える。結果。


―――チュッ


「え、な!?」


 唯の柔らかな頬にキスを落とした。それだけで済ませられた臣を褒めてやりたい。


「ちっクソ!」
「は、え、今…っ」
「ちょっと黙ってろ」


 慌てる唯を押さえ込み、臣は細い肩に顔を埋めた。


「…やば」
「な、何がですか」
「お前良い匂いするな」
「は?ちょ、変態ですかっ」
「ちげぇっつーの。いや、案外違わねぇかもしんねぇ」


 「そこは否定してください!」と言おうとした唯の首筋に濡れた感触がした。


「ひぅっ!」
「甘い」
「何してるんですかっ」
「舐めてる」


 「そんなこと分かってます!」と内心叫びまくる唯。

prev next

 

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -