「………」
無言は、肯定を示す。それにますます驚き、彼を凝視する風紀委員たち。
「顔には出ていないが、寝ていないだろう」
鋭い朱鷺の指摘に、唯はムスっとした表情で睨む。
「それが何ですかぁ」
「あまり、無理はするな」
いつも妖しい笑みを浮かべる口元をへの字に結んだ朱鷺に風紀委員は驚きを隠せない。そんな朱鷺を真正面の位置に立つ唯は眉を潜めながら見る。
朱鷺の目に心配の色が浮かんでいるのを、唯は見逃さなかった。否、見逃せなかったのである。はぁ、と溜息を吐いた唯は真っ直ぐに朱鷺を見る。
「…かいちょおには、言わないでくださいねー」
「何故、」
「心配されるのは苦手なんです」
苦笑しながらそう言った唯は、くるりと方向を変え風紀委員室を出た。
「はぁ」
風紀委員室のドアに寄りかかりながら溜息を吐く。最後はほぼ素で喋ってしまったことに後悔しながら頭を抱える。
なんであんな心配そうな顔をするんですか。ってかそういうのはチワワにやってください!
内心が駄々漏れである。廊下に誰もいないのが救いであった。
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