07
―――コンコンコンコン、
生徒会室とは違う、しかしこれまた豪華な扉を唯はノックする。
「誰だ」
「生徒会ですー」
「入れ」
臣とはまた違う低い耳朶をくすぐる声に、唯は躊躇なくドアを開けた。その先にいるのは風紀委員長の御手洗朱鷺である。
臣が純粋なる男前だと称すなら、この男はエロカッコイイと言えるだろうか。いつ見ても唇は妖しく歪められている。
明らかに風紀を乱していそうなこの男が風紀委員長でいいのかと問われれば誰しも首を傾げるが、皆さんはお忘れないであろう、唯は腐男子である。
初めて朱鷺を見たとき、唯は思わず叫びそうになった。何を、と言わなくとも分かるだろうから言わないが。だが唯はこの男が少々苦手である。ことある度に絡まれるからだ。
風紀委員長の名は伊達ではなく恐ろしく喧嘩が強い朱鷺に、ただ護身術を習っただけの唯とでは力の差は歴然である。そんな朱鷺に勝てるはずもない唯は、絡まれる度、拳を避けるくらいしか出来ない。
いや、拳という名の暴力ならまだマシなのだ。だが最近はことあるごとに捕まえられ、色々されるのだ。色々と…スキンシップという名のセクハラを。
唯は内心疑問に思うどころか苛立っている。何故自分なのだ、と。そこらへんの可愛いチワワにそういうことはしろ、と。忘れないでいただきたい。唯は腐男子である。
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