05



「jokerなど必要無い。俺が欲しいのは―――」


 グイ、と後頭部を掴んで俺の方へと引き寄せる。形の良い耳へと低く囁いた。


「水名静という人間、だ」


 ゆるりと仮面を被るjokerを見やる。


「興味、でしょうか」


 jokerの問いに、俺は暫し無言で見つめる。クツリ、と一つ笑ってみせた。


「俺に言わせるのか」
「何の事だか」


 ここまで言って未だに逃げようとする獲物に俺は笑った。もうそろそろ、知らぬふりはいいだろう?


「自分の首を絞めている事に気づかないか?」
「―――…!!!」


 後頭部に添えたままだった手に力を入れ、唇を重ね合わせた。容赦など必要ないだろうと、俺は荒々しく貪る。
 数分後に離してやれば、俺よりも遥かに息を切らせたjokerに目を細める。まだ仮面を被ったまま、か。体は熱を持ち始めているだろうに、表情を崩さぬjokerに笑む。
 熱を隠し切れずに若干潤んだ瞳が俺を映していた。

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