「jokerなど必要無い。俺が欲しいのは―――」
グイ、と後頭部を掴んで俺の方へと引き寄せる。形の良い耳へと低く囁いた。
「水名静という人間、だ」
ゆるりと仮面を被るjokerを見やる。
「興味、でしょうか」
jokerの問いに、俺は暫し無言で見つめる。クツリ、と一つ笑ってみせた。
「俺に言わせるのか」
「何の事だか」
ここまで言って未だに逃げようとする獲物に俺は笑った。もうそろそろ、知らぬふりはいいだろう?
「自分の首を絞めている事に気づかないか?」
「―――…!!!」
後頭部に添えたままだった手に力を入れ、唇を重ね合わせた。容赦など必要ないだろうと、俺は荒々しく貪る。
数分後に離してやれば、俺よりも遥かに息を切らせたjokerに目を細める。まだ仮面を被ったまま、か。体は熱を持ち始めているだろうに、表情を崩さぬjokerに笑む。
熱を隠し切れずに若干潤んだ瞳が俺を映していた。
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