04 三嗤



 そうして、俺とjokerの鬼ごっこが始まった。3ヶ月が経った今日この日にようやく捕まえることが出来た。
 柄にもなく焦ったことは本音だ。まさか本当にここまで逃げられるとは思っていなかったから余計に。しかし手強いからこそ面白いのだ。


「―――jokerを捕まえて何を御所望ですか」


 俺が良く来るバーへと強引に連れてきたjokerは俺の横でそう聞いてきた。俺の隣にいることに満足し、口角を上げる。これほどに表情筋を動かすのは久しい。


「お前の情報が欲しい」
「jokerについての情報は範囲外です」


 俺の問いに迷うことなく即答したjokerを見る。意図せずとも眉が寄るのが自分でも分かった。


「俺はjokerを欲している訳ではない」
「…意味を聞いてもよろしいでしょうか」


 目を細めて目の前の者を見やる。俺の答えなど知っているはずであるのに、上手く逃げるものだ。

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