03 二嗤



 あいつと、jokerと対峙した初めての人間は俺だろう。jokerは恐ろしく有能な情報屋だ。有り得ないほどの情報量を誇るjokerは賢く、姿を現さないことで有名だった。
 情報提供は極一部。手紙、メール、電話。この3つの方法でしか情報を問い合わせない。しかも一方的だ。いずれも全て非通知である。
 それだけならすぐに顔が割れるはずなのに誰も正体を知らないということは相当腕が立つ。色々な情報屋が尻尾を掴もうとするが、ヒントすら与えないjokerによってことごとく砕けていった。
 誰も敵わないその伝説の情報屋と連絡を取っている極一部の一人が、俺だった。ある日、向こうが話を持ちかけてきた。まあ要するに俺に頼んできたのだが。
 俺は面倒だと切り捨て、「頼みは直接しか聞かない」と出来ないだろうことを言い放ち一方的に電話を切った。すると、驚いたことに本当に目の前にjokerが現れたのだ。
 まさか本気にするとは思わなかった俺は、その勇気に免じて取引に応じることにした。そう「取引」に、だ。俺が頼まれたことをしたとして、利益はない。ならばと条件を持ちかけた。


「俺とゲームをしろ」


 俺の言葉にフードの下で考え込むjoker。内容は俺がjokerを探し見つけ出せたならjokerは俺のものになる、という簡単なものだ。まだ悩む仕草を見せるjokerに期間を付け足す。


「期間は3ヶ月でいい」
「短くないですか?」
「短いくらいが丁度良い」


 俺が笑みを浮かべてそう言えば、渋々頷いた。


「そのゲーム、受けてたちましょう」

prev next

 



top
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -