「―――水名静」
ようやく見つけ出した糸の先を引っ張り出し、情報を得た。丁度“あの時”から3ヶ月。
ギリギリの限定期間の中で、俺は探し出した。ずっと焦がれていた者を。
俺がある教室のドアを開ければ、昼休み独特のあの騒がしい空間が嘘のように静まり返った。それが俺のせいであることは分かりきっていたが、それよりも大切なものがあった。目的の一人の人間を目の端に捉えて視線を向ける。
そいつは俺が来たことを分かっているはずであるのに、此方を見ようとはしない。しかし目の前にした獲物を逃がす訳がない。
「水名静」
あいつの唯一の名にして本名。それを舌の上でもう一度転がしてみせる。静まり返る異様な教室の中で、微かに息を吐き出した目的の人物はゆるりと顔を上げた。
黒耀の冷静な光が宿る瞳を射抜く。嗚呼、やっと見つけた。本能が歓喜する。
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