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「!」
「Aufs geschlosne Aug' die Sehnsucht(瞼なら憧憬)」
「…憧れなど、貴方にはないでしょうに」
「さぁな」
はぐらかされる。どうして僕に憧憬なんか。
「In die hohle Hand Verlangen(掌なら懇願)」
未だ掴まれたままだった手の平に口付けられる。再び顔が近づいてきて、首に埋められる。ピリッとした刺激に何をされたのかを理解した。
「Arm und Nacken die Begierde(腕と首なら欲望)」
「キスマークはつけないでくださいよ」
「いいだろ。俺はお前が欲しいのだから」
僕は思わず嘆息する。ニヤリ、と王が笑むのを僕は見逃していた。だから対応出来なかったのだ。ぐい、と着ていた制服を鮮やかな手つきで肌蹴させられ、鎖骨の上にキスを落とされる。
「何をっ…!」
「Ubrall sonst die Raserei. (それ以外は狂気の沙汰)」
「〜〜〜っ!!」
しまった、と思う。騙されたというか、なんというか。最後の一文を忘れていた僕が悪いのか、王が悪いのか。定かではないが被害を受けたのは変わらない。
肌蹴させられた制服を急いで整え、王を見やる。本気で憎憎しいことこの上ない。
「とりあえず本音は此処だがな」
掌に口付けられる。
「本気なのですか」
「本気だと言っているだろう?」
「………」
「自ら口付けたのはお前が初めてだ」
「本当ですか」
「疑うのなら疑えばいい。お前なら真実は調べれば分かるだろう?」
「…ハァ」
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