09



 恐らくトロンとしているのであろう目で王を見やる。けれどそれでも僕はjokerの仮面を剥がしはしなかった。
 王は至極楽しげに笑んだ。僕にとってそれは地獄宣告にも等しい。初めて自分が相手の意図を読み取る能力に長けていることを恨めしく思った。


「やはりイイな」


 王の言わんとすることが分かってしまう自分を憎む。そして今から王がしようとしていることも、また。
 再び整った顔が近づいてくる。抵抗しても恐らく王はビクともしないのだろう。無駄と分かっていて行う程愚かでもない。しかし甘受する訳にもいかないのだ。
 温度を感じない冷たい唇を重ねられた瞬間、僕は先程の二の舞にならぬよう口を閉ざした。王と目を合わせたまま無言の攻防が続く。抉じ開けようとする舌の巧みな動きに思わず目を瞑った。
 熱が極限にまで溜まり、これ以上は流石に危険だと判断した僕は、手で厚い胸板を押す。だけどその手さえ捕らえられてどうすることも出来ない。いつ終わってくれるのだろうか、とよぎる思考も深い口付けに呑み込まれる。

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