04



「空月です」
「入れ」


 豪奢なドアをノックすれば間髪入れずに低い声が返ってきました。相変わらず偉そうな物言いだと思いながらも扉を押し開けます。


「本日も嫌味なほど美形ですね」
「そう言うお前は変わらず地味だな」
「褒め言葉です」


 皮肉に笑んでみせます。


「食えねぇ奴」


 言葉とは裏腹に愉しげに口角を上げているこの男は黒羽夕日(くろはゆうひ)さん。まるで鴉を思わせる名前ですよね。
 僕と同級生、二年であるのに武道の頭を務めるキレ者です。武道の達人で、一度彼が喧嘩しているところを拝見したのですが、人間離れした身体能力でした。
 何でも、父方の実家が武道を業としている一族なのだとか。生まれ育った家が武道に精通していればそりゃあ並大抵じゃないでしょうね。


「それで黒羽さんは僕に何の用が?」
「情報処理はお前の得意分野だろう?」


 質問に質問で返さないでほしいものです。確かにそうですけれど。得意というよりもプロと言ってほしいものですね。

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