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 脇役であるはずの平凡。王道で言うならば巻き込まれ平凡と呼ばれる部類の彼らは、舞台に躍り出ている時点で脇役ではないと思うのです。
 本物の脇役というものは、誰の目にも留まらない通行人のことだと僕は考えています。
 初めまして、空月佐々(そらづきささ)と申します。敬語は癖なのでツッコミはスルーさせていただきますね。
 僕はただの一般生徒です。まりもじゃは見かけたことがあるだけですし、「絶賛巻き込まれてるなう」と呟く平凡君と知り合いでもクラスメイトでもないです。関わりがあるといえばそうですね…僕がこの腐った学園に在籍していることくらいでしょうか。
 まりもじゃを中心とする台風は、周りに影響を及ぼしますが、何の関係もない僕のような生徒は平和なものです。


「佐々」
「はい?あれ、涼介君じゃないですか」


 僕の名前を呼んだのは才木涼介(さいぎりょうすけ)君。僕より背が低いくせに物凄く肉体的に強い美人です。頼りになりすぎる人で、現在は武道委員会の副委員長を任されているのですよ!
 あ、武道委員会というのは準風紀のようなもので、主に取り締まりを行う委員会のことです。昔は風紀委員会だけだったそうですが、あまりにも仕事が多すぎて委員が過労で倒れてしまったために作られたそうです。
 どちらかというと風紀が分裂した、といった方が分かりやすいかもしれません。風紀が書類を、武道が現場を担当しています。
 何だか「現場」って素敵な響きですよね。しかし残念ながら僕は喧嘩は出来ないので風紀に属しています。風紀と言っても影の風紀ですからほとんどの生徒は知りませんが。

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