「どうして、」
「ん?」
「…どうして僕なんですか」
もっと他に良い子がいるでしょうに、どうして彼らは僕などを好きだと言うのでしょう。黒羽さんも藤原先生も学園内で群を抜いた美形なのですから選り取りみどりでしょう。
僕よりも可愛い子や綺麗な子、性格の良い子なんて山程いるし、それに彼らの容姿なら女性は寄ってくるはずです。
「自分を卑下したらあかん」
大きな手が頬をするりと撫でました。ゆっくりと逸らしていた顔の位置を戻すと苦笑した顔がそこにありました。
「空月やから好きなんやって」
「僕だから、ですか」
そういえば黒羽さんも同じことを言っていましたね。よく分かりませんが、僕じゃなければ好きにならなかったと。結論を言えば、総じて趣味が悪いということですね。
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