「既に胃袋は掴んでるからな」
「僕の嫁にでもなりたいんですか黒羽さん」
否定出来ない自分がいるのが悔しいですけど。すると黒羽さんはクツリと喉を鳴らして笑いました。
「嫁でも良いぞ。夜は夫にならせてもらうがな」
「…そんな返答いらないです」
そうですか、僕のお尻の危機なんですか。そっちの方向に頭は回りませんでしたよ。貞操の危機…。男なのにそんな言葉が降りかかるだなんて思っていませんでした。
別に男同士に偏見はないですけど、自分のこととなると別物です。
「せいぜい頑張ってください。僕のいないところで」
「それは無理だろ」
ですよねー。分かっていましたが。それにしても、傍観者だったのにどうして僕が役者として舞台に上がらなければならない状況に陥っているのでしょうか。どこで間違えてしまったんですかね?
「…またメールします」
「待っとく」
ただのお菓子のリクエストメールですけどね。それを分かっているはずなのに黒羽さんは嬉しげに目元を和らげる。僕は見なかったことにして彼の横を通り抜け、生徒会室に向かいました。
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