01



―――昔々。それは農耕が盛んだった時代。
 とある若い女が神社へと参拝に来ておった。その女は毎日祈っては、和菓子を置いて帰っていたそうな。

 ある日、いつも通りにみたらし団子を置いて帰ろうとした女は、視線を感じて振り返った。目に映ったのは女の背丈の二倍はある大きな岩。


(はて。このような岩などあったかいな?)


 毎日来ていたにも関わらず、見覚えのない仰々しい岩に頭を捻る。そして誘われるようにして女がその岩に触れると、なんと額に角を持ったそれはそれは美しい鬼が現れたそうな。
 美貌に見惚れていた女に鬼が触れた途端辺りは光に包まれ、一つ瞬きした間に消えてしまった。女は鬼に攫われたのだ。

 それ以後、その岩は「鬼岩」と呼ばれ、触れてはならぬものとされたのである―――

prev next

 



top
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -