「みぃちゃーん!」
「わっ」
唐突に母に抱きつかれて慌ててバランスを取る。母にしては若過ぎる母をどうしたのかと見れば。
「みぃちゃぁん…」
ウルウルとした大きな瞳にかち合って「はて?」と首を傾げる。状況の把握が上手く出来ていない雅に、母はぎゅうっと更に力を込めた。
「みぃちゃんに会えないのヤだよお」
母の震える声にようやく状況整理がついた雅。高根沢学園に行くということは、この家を離れるということ。学園は全寮制であるのだ。
「大丈夫」
「みぃちゃん」
こつん、と額同士を合わせて言葉を紡ぐ。
「心配ないよ」
「それもあるけど寂しいのぉ」
えぐえぐと泣く母親に雅は困ったように笑った。これが母と子でなかったならバカップルでしかないだろう。
「俺だって、母さんと父さんに会えないの寂しい」
雅は少しだけ目を細めた。父と母はそんな雅を抱きしめる。
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