04



「みぃちゃーん!」
「わっ」


 唐突に母に抱きつかれて慌ててバランスを取る。母にしては若過ぎる母をどうしたのかと見れば。


「みぃちゃぁん…」


 ウルウルとした大きな瞳にかち合って「はて?」と首を傾げる。状況の把握が上手く出来ていない雅に、母はぎゅうっと更に力を込めた。


「みぃちゃんに会えないのヤだよお」


 母の震える声にようやく状況整理がついた雅。高根沢学園に行くということは、この家を離れるということ。学園は全寮制であるのだ。


「大丈夫」
「みぃちゃん」


 こつん、と額同士を合わせて言葉を紡ぐ。


「心配ないよ」
「それもあるけど寂しいのぉ」


 えぐえぐと泣く母親に雅は困ったように笑った。これが母と子でなかったならバカップルでしかないだろう。


「俺だって、母さんと父さんに会えないの寂しい」


 雅は少しだけ目を細めた。父と母はそんな雅を抱きしめる。

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