いつもより早めに千尋に起こされ、案内されたのは父の書斎。そこには父を始め、母と兄まで揃っていた。
不思議に思いながらも雅は礼儀正しく一礼してから用意されていた座布団の上に座る。そして雅が落ち着いた時、父は口を開いた。
「雅」
「はい、何でしょうか父上」
ピシリと背筋を伸ばし、父を見やる。
「お前には高根沢学園に行ってほしい」
父の言葉に固まった雅。
「え?」
コテリ、と首を倒す雅。父に説明を求めるよう視線を送れば、苦笑が返ってきた。
「私は雅の将来について、雅に全て任せている」
「はい」
「この家を継ぐのも勝手、違う職に就くのも勝手。だが、一つだけ仕来たりがある。それは高根沢学園に通い卒業すること」
つまり、高根沢学園を卒業さえすれば後は自由だと。父は言う。それならば条件を呑まないわけにはいかない。
「早乙女雅は高根沢学園に入学します」
「そうか」
父は少しだけ微笑んで雅が頭を下げるのを見た。
「頑張りなさい」
「はい」
雅はふわりと笑んで答えた。すると。
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