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「問題は襲われるかもしれない事か」


 雅は容姿だけで言えばこの学園でもかなり上位に食い込む美形に属する。ネコから好かれそうな男前だが、硬く見られがちなので乗っかられる事は無いだろう。
 しかし、だ。問題は時雨が先程言ったように襲われる可能性がある事だ。もちろん男役であるタチに。
 実際に正面から対面するとよく分かるのだが、雅は他の人にはない独特の雰囲気を纏っている。ほわほわとした癒やし和ませる空気。
 それと同時に雅にはああ見えて実は隙が多い。腕っぷしは弱くない。早乙女家の教育方針で武道を一通りこなし、その上護身術も身に付けているので簡単には殴られたりしない。
 ―――そう、"殴られる"事はない。暴力関係ならお手の物であるのだが、押し倒された場合は別だ。
 何しろ雅には警戒心というものを持ち合わせていないから、恐らく相手に意図に気づけないだろう。
 まだこの特殊な学園の性癖を理解していない。否、時雨がよく言って聞かせたとしても、本質的に理解出来るかどうか微妙である。
 時雨はこれから長く濃い先を思い頭痛がした。

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