23



 ブラックリストには要注意人物の中でも更に要注意である人物が何人か存在している。その最要注意人物の中に息吹は入っていた。
 時雨は同学年であるからこそ、噂がよく耳に入る。普段、息吹はそれこそただのサボリ魔である事以外はなんら問題は無い。
 だが、一度キレるとそうもいかない。見境なく、周囲に居る者全てに殴りかかり、血の海となる事がしばしばあるのだ。
 化け物と呼ばれ恐れられる(失礼)風紀委員長でさえ、息吹を止める事を嫌がる。力は互角、否、キレた息吹なら息吹の方が僅かに風紀委員長を上回る。
 つまり、暴れると止める者がおらず、自然鎮火するのを待つしかない。平生はのんびりとした性格なので怒らせない限り大丈夫と言えば大丈夫なのだが、いかんせん沸点が高くない。だからといって言う程低くもないのだが。
 時雨は額に手を当てて嘆息した。


(雅はまた厄介なのを引っ掛けて)


 雅にかけられたあのブレザーも恐らくは息吹の物だろう。平生なら考えられない。が、雅だから仕方が無いとも思える。
 今ではすっかりベタ惚れの雅の側近である中条千尋もまた、雅に魅了された厄介なものの一人だ。当時小学生だった雅に荒れ放題の不良高校生がなついてしまったのだから何とも言えない。
 更に言えば、千尋はただの不良ではなく実家がヤのつく職業である。何にしても、雅はいつも癖のある者になつかれる体質であった。

prev next

 



top
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -